第三章「生命維持システム」 3
4: 免疫機能
危急存亡時の生体反応
アレルギー疾患
花粉症はアレルギー疾患の代表格で、国民病と揶揄されるほどに、日本人の体質は悪化している。「風邪は万病の元」と云われたが、今や花粉症が万病の元になってしまったようだ。
しかしこの生理機能の解釈には、三つの重大な誤りが存在するように思われる。学者でもない私が断言するのは批判もあるであろうが、四十年以上の食養の経験と数度の断食の体験を通して、直感でそう感ずるのである。
- 三つの間違いとは
- 交感神経緊張状態「ストレス過剰」
- これは飢餓ストレスに対する反応で、本来は、生命を守る生体反応である。
- 顆粒球による正常な組織細胞の破壊
- 古くなった細胞の再利用のために行われる、オートファジーの機能である。
- 免役異常/免疫の暴走と表現される生体反応
- これは異常や暴走ではなく、正常な生理機能であり、脆弱な病的細胞を処理している現象である。
- 以下で詳細を説明する。
- 交感神経緊張状態「ストレス過剰」
すでに述べたが、交感神経緊張状態は飢餓ストレスに対応した、生体反応であると云う事が一つ目だ。これは断食の時に経験する生体反応が、交感神経緊張の危急時に、アドレナリンの大量分泌で起きる生体反応と全く同じなのだ。
絶食状態の生体反応では、日常生活で生じた疲労物質、老廃物、化学物質などが組織に蓄積する事で損傷した、粘膜-細胞-脂肪などが自己融解し、組織や臓器の修復、排泄が図られると同時に、赤血球への逆分化が起こり、体液の恒常性が保たれている。
繰り返しになるが、交感神経優位の状態で顆粒球が増え、病的細胞、異常細胞の処理がなされる。同時に顆粒球で処理出来ない、微細な自己異常にまつわる細胞の崩壊した老廃物、異物、ウィルスなどを処理する古い免疫系が活性化される。
人類の数百万年の歴史の中では病気、怪我などで食が絶たれることが頻繁に起きたであろう。そんな時、人類は飢えにひたすら耐え、安静を保ち回復を待ったであろう。
また外来抗原に対する免疫系が抑制され、自己異常に対するシステムが活性化されると云う事は、絶食状態でこそ生命力が旺盛となり、病的異常が修復される能力が、飢えが当たり前という環境に適応、進化して備えられたと思われる。
そして二つ目の誤りは、顆粒球増多による正常な組織細胞の破壊が行われると云う指摘である。何故この様な誤解が生まれるのだろうか。生物には 各々、食性があると述べてきた。人類の主食はイネ科植物の、お米やアワ、ヒエ、キビなどの未精白の玄米雑穀であらねばならない。そして季節の野菜と、日本人ならば海藻と小,魚介類を味噌醤油で調理すれば充分に栄養は賄える。
これ以外の食性に合わない食物を習慣的に摂取すると、代謝異常による多臓器不全に陥る。
これに過食が加わればますます状況は悪化する事になる。さらに大気汚染、水質悪化、添加物、薬品、農薬、化学肥料などの、化学物質の氾濫は脆弱な体質のみならず、精神の荒廃をもたらす事になる。
命を育む栄養素を削ぎ落とされた、生命力を失った不完全食によるストレスが、生活習慣病と呼ばれる疾患全般の最大の原因である。生命力に満ちた食品を摂り、活力に溢れた赤血球から生まれた組織細胞ならば、活性酸素除去酵素も豊富にあり、顆粒球の出す、活性酸素の処理対象となる、病的な異常細胞も少なく、組織障害は防がれるだろう。
生命力のない汚染食は、これに耐えられない脆弱な組織細胞を生み出して、組織全体が活性酸素の攻撃対象となってしまう。
つまり健康な細胞組織が攻撃を受けているのでは無く、実態は健康に見えているだけの病的細胞なのだ。様々な錯誤による間違った生活は、有害物の蓄積による、代謝異常、免疫異常、粘膜障害、組織障害をもたらす。
医学界が黙殺し続ける不都合な真実
思い出して頂きたいのは、細胞は細胞分裂によるものではなく、摂り入れられた食物が、生きている物質モネラとなって、腸管から摂り込まれ、細胞そのものとなり赤血球に分化し、更には「体細胞」にまで生成発展すると言う事実を・・・。
この視点が欠けているから、現代の西洋医学が生活習慣病に対して何ら対策が講じられることなく、対処療法に終始して問題を複雑化している。「医は仁術」という原点に回帰してもらいたいものである。
アレルギー疾患の持つ意味
環境に溢れる、化学物質や、過食、肥満、白砂糖、運動不足などは細胞で消費する酸素を奪い取る。その為に副交換神経が亢進されて、リンパ球増多となって、免疫力が増進する。
本来の免疫システムは、この様な状態で侵入してきたウィルスなどへの抗体を作り、外来抗原の攻撃から体を守るシステムである。
しかしながら、各種の化学物質に汚染され、脆弱且つ、病的な細胞組織によって劣悪に悪化した体内環境では、瞬く間にウィルスは増殖して、抗体の生産が遅れを取り、ウィルスの繁殖が止まらない状況で、最前線の防御線が突破された状態と言って良い。
この状況での体の防御反応は、発熱によって体を守る体制を作ってその結果、節々の痛み、頭痛、悪寒、喉の痛み、咳などの症状が現れ、安静を促し副交換神経を優位にして、リンパ球を増やし病原菌に対応する事になる。
体力がある程度維持できていれば回復に向かうが、最近死因の第三位に急浮上した肺炎が示すものは、日本人の体力の低下が著しいことの証明でもある。
ところで現代社会に多い、ウィルス以外の化学物質などに対しては、従来の免疫システムは働かず、寧ろその影響で免疫力は低下し、化学物質が蓄積される事で、副交換神経優位の条件が継続され、体内の汚染が限度を超えると、リンパ球増多となり免疫力が益々亢進される。
この時多くの神経伝達物質が分泌され、痛み、発熱などを伴いながら血管拡張、血圧降下、
血管透過性の亢進が促進される事で、蓄積された疲労物質、老廃物、化学物質などの異物処理が行われ、汚染、消耗した組織の浄化と生体機能の回復に最適な条件が整う事になる。
その結果組織に蓄積している汚染物質が、体液中に大量に溶解し代謝排泄が促進されて、
通常の排泄ルート以外に皮膚、粘膜、目、耳などが動員され排泄される。
これがアトピー性皮膚炎や花粉症に代表されるアレルギー疾患である。これらのアレルギー疾患を免疫異常とか、過剰反応と表現するが、この事が三つ目の誤りである。
おそらくは抗体の過剰反応などではなく、通常の排泄機能で処理出来ない異物が限界に達して、副交換神経優位の条件が継続される事で、神経伝達物質が多量に放出された事の結果として起きるのである。
生理的な回復力による排泄作用と云う理解なくば、正しい治療が行われないのは当然である。
アトピーの治療にはステロイド剤が多く使われているが、組織に浸透して悪循環を生むので、少しずつ減らしながら改善を図らねばならない。