健康を害する食品
生物学的に見る「食性」という秩序
食物が進化を促した
生命進化の歴史は、物質の変化と発展の記録と言い換えてもいいだろう。
宇宙は水素とヘリュームが高圧・高温・高エネルギーの作用を受け、次々と重い元素を産み出し、広大無辺の宇宙に浮かぶ、銀河や太陽系を創り、人類の想像力を掻き立て、大いなる宇宙へのロマンを誘う。
さて、やがて地球が誕生し、ついには無機物から、有機物が合成され、生命の基本物質が出揃ったところで、生存の原理という「秩序」は、新しい生命進化のシナリオを用意していた。
宇宙空間に存在する膨大なエネルギーによって、星が誕生しその結果として、地球環境には有機物が満ち溢れた。それはあらかじめ用意された必然であり、偶然の結果などでは断じて無いと言えるだろう。宇宙にありふれた生命の誕生は予定調和であったとしか思えない。
有機物の生成や生命の基本物質の合成に貢献したのは、触媒の存在である。タンパク質が合成され触媒作用を持つ酵素の出現は、低分子化合物から高分子化合物、そしてそれに続く生命誕生は、酵素の触媒作用というエッセンスなしでは語れないであろう。
有機物を餌として、発酵によってエネルギーを得る手段を手にした原始生命は、太陽光を利用してエネルギーを生む光合成細菌が登場するに至り、劇的な変化をもたらした。
光合成細菌は地球の大気に酸素を放出し、地球に酸素が満ちると、酸素を利用するバクテリアが登場し、効率よくエネルギーを生みだすことができる彼らは、活発に動き回り獰猛な捕食者となって、その後の生命進化の新たなステージの主役となったのである。
マクロビオティック研究家の久司道夫氏は、
「食物とは進化を促し、ひとつの『種』が、別の『種』に変る為の手段である」
と述べられているが、まさに卓見である。
小宇宙の支配者とは
人類は自らの手で食の質を劣化させ、秩序を乱し病に苦しんでいる。人類の「食性」はその発生学的見地からして、穀物より他になく、特に日本人には「玄米」が最適である。玄米はバランスのとれた栄養価を持った食材で、これを主食に据え、季節の副菜を摂れば充分な栄養を賄うことができる。
人間は40兆の「体細胞」と、30兆の「赤血球」の集合体である。それぞれが秩序のもとに生かされている生命体なのだが、その生息環境が汚染される事で、生態系を維持する環境が崩壊し、その悪化した環境の中での、健全な生命活動が維持でき無くなるのは当然の帰結であろう。その環境を破壊する原因が、生命を養う栄養素が欠損した食材であり、工場で生産され、必要以上に汚染された添加物まみれの加工食品である。
この宇宙は寸部の狂いもなく時が流れ、季節が巡り来る。そのような宇宙の営みに想いを馳せ、その広大無辺の広がりを見せる、果てしのない宇宙の存在は、計り知れない存在を感じずにはいられない。何か上位の意思によって運行されているようにも見えるが、凡人の私にはそれ以上の事は判断はできない。
翻って人の体内には、無限のミクロ宇宙が広がっている。腸内菌も含めると二百兆から一千兆もの生命が息づく生態系が存在する。この大宇宙をコントロールする力があるが如く、私たちはこの生態系を維持管理する能力が有り、それを良い環境に保つ事は、自分自身の健康に直結することはもちろんの事、ひいては地域社会の健康増進に寄与し、人類の未来に希望を見い出し得る、個人として出来る最大限の社会貢献であろう。
繰り返しになって心苦しいが、重要な肝の部分なので心して心に留めて欲しい。この体内に拡がる「生命」が息吹く小宇宙を管理するのは、個人の意思以外の何物でもない。マクロ宇宙の管理などできやしないが、個々人が支配できる唯一無二の存在が、人の体内に存在すりミクロ宇宙という生態系なのだ。自分自身の腸内環境を整える事で、その環境の影響を受ける体内の各臓器をもコントロールできることを理解する事を学ばねばならない。。
つまり肉体を病に導くのか、何事にも揺るがない健康体を創造するかは、人間の正しい食性を理解し、その食が体内でどのように消化吸収され、臓器がどう影響を受けて、生命維持に働くのかという理解をする事が大切である。日常生活で起こる体調の変化や慢性病は、自分自身の無知が作り出した不調や病であって、他の誰の責任でもないが、この真実を覆い隠してしまっている社会の闇は余りにも罪が深い。
しかしながら、少しの疑問が湧けば、書籍や今ではインターネットで真実の情報を掘り出すことは可能だ。1896年(明治29年)には食養の祖である「石塚左舷」が『化学的食養長寿論』を発表している。
また、奈良時代には味噌や醤油の原型ができあがり、戦国時代になって優れた栄養価の「味噌醤油」が完成したとされる。三百年前の貝原益軒の残した「養生訓」や百数十年前の「石塚左舷」を待つまでもなく、深い洞察力を持った先人が知恵を凝らし、優れた健康効果を持った食材を生みだしているのである。
現代においては、既得権益の持つ力によって真実が歪められ、深い洞察力をもって、真実を見極めることが難しい時代かもしれないが、「癌」が怖い「認知症」が怖い「コロナ感染症」が怖いと恐怖心に煽られるのではなく、何かがおかしいとの疑問を持ちさえすれば、その真実にたどり着けるはずである。
人間には、生涯をかけて創り上げねばならない、真理に裏付けされた観念が必要となる。世界観、人生観と言えば解り易いだろうか。そしてその基本となるものが以下に示す世界観ではなかろうか。
- 世界観
- 宇宙観~宇宙の構造【ミクロの宇宙とマクロの宇宙構造を学ぶ】
- 生命観~生命の構造【進化の歴史を紐解き命の謎を解き明かす】
- 社会観~社会の構造【複雑な社会構造を理解し相互扶助の確立】
この世に生きる生物は、宇宙の動かし難い真理によって、育まれ生かされている存在である。そのうえで人類は想像力を与えられて、地球の生物種の頂点に君臨し、人類を含めた生態系の存続に、全責任を担う存在であるにも拘らず、権力者によって歪められた社会が築かれて、庶民が苦しむ様な社会構造が、更に強化されている様に感じるのは私だけではあるまい。
宇宙の成り立ちや構造を理解し、生命が生かされている不変の真理を解き明かすことで、病氣に煩わされる事のない、真の健康がどのようにしたら、得られるかという真理を体得する事で、個々の人生は勿論、世の中も劇的な変化をするであろう。それは現代社会を支配する閉塞感をも打ち破り、人間改革、社会変革に繋がる大いなる試みと云える。