「命」の輝きを忘れない!「健康」は宝です!! 「病」を癒し、病院と縁を切る為のガイドブック

第三章「生命維持システム」

第三章「生命維持システム」

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1: 系統発生する生命

 人体に必要な栄養分は、40数種と云われている。超微量ミネラルなど他にも未発見のものも含めれば、百種を有に超える数があるだろうと考えられる。

 何れにせよその全てを把握管理するのは不可能だ。またその様な必要はなく、私達がすべき事は適切な食材を選ぶだけで良い。食性に合った優れた食材であれば、微生物の力も借りて必要な栄養分は全て体内で合成されてしまうからだ。

 その食物とは人類と共に進化してきた禾本科植物、つまりイネ科の穀物である。生物は各々の環境に応じた食物を摂取してきた。そして環境が移り変わると、餌としていた食物も変わり滅んだり、新しい種へと進化したものと考えられる。巨大化した恐竜はそうした変化に適応できずに、絶滅したものと思われる。

 人類は類人猿の森や樹上の生活様式から、その一部が草原へと移り、生活の場を変えたことで二足歩行を発達させ、人類としての歩みを始めたと云われている。

 最も大きな変化の要因は、食物の変化だったであろう。欧米での社会貢献(マクロビオティックス)が認められ、スミソニアン博物館の殿堂入りを果たした、久司道夫氏は「食物とは進化を促し、別の種に変化する為の、転機である」としている。

 草原に生活の場を移したヒト科の猿は、禾本科植物へ食性を切り替え、五百万年の人類進化の道を開いた。穀類は人類の食物として、栄養バランスが最も優れており、植物進化の最後に登場してきた生命力の旺盛なイネ科植物である。

 人類はこのような穀類を主食にすることで、これを上手に利用する機能を数十万年の時を経て構築してきた。それは炭水化物を中心とした代謝システムと云える。

 食性と深く関わる進化のメカニズムを考えると、猿と別れ人類へと至ったと云う事実は、起こるべくして起こった歴史の必然であった事だろう。

 しかし現代の大半の国家は、経済を優先させた社会システムを地球規模に拡大し、途上国の富を吸収しながら自国の拡大を目指している。

 その経済システムは本来の生物としての、人間生理から大きくずれてしまっている事に、多くの人は気づけないでいる。
 経済優先のシステムに乗せられ、肉を好み、化学物質に汚染された加工食品の氾濫により、人類の生理機能を破綻せしめ、絶滅種へと人類を導くことになる。

 私達の体内では化学進化から始まる、生命進化の歴史が繰り返される。妊娠から出産と云う生命誕生だけに留まらず、すべての細胞が日々新たに生まれて、新陳代謝が行われている。この命の営みが汚染された食物によって本来の生命力が奪い取られていく。

 ネアンデルタール人として知られる学名「ホモ・ネアンデルタレンシス」は、現代人類とは異なる絶滅した種である事が判明している。
 このままではホモ・サピエンスと云う「知性の人」は別の種の「痴性の人」へと変化を遂げ、ネアンデルタール人の様に絶滅種として、後世の人々に認識されるだろう。

 そして正しい食性を守り「生存の 原理」に導かれた種が、新たな進化の道筋を歩む事になるだろう。それには、四十億年の進化に沿った代謝システムを維持する事が不可欠である。


2: 恒常性維持機能

 代謝機能に欠かせないものが「塩」である。海を体内に宿すことで命を保ってきた生命は、塩なしでは生存できない。減塩が叫ばれて久しいが。その根拠となった疫学調査や動物実験の結果は、信頼性に乏しく後に否定もされている。

 また肉食中心の欧米人の食文化と生理機能から導きだされた、一日5g~6gという基準は、日本人の生理にふさわしくない。肉というのはナトリュウム(Na)系の食品なので、塩の摂取は少量でも構わない。

 日本人の食文化は米を中心とした、野菜食が基本で成り立ってきた民族である。

 それはカリュウム(K)系の食生活であり、カリュウムはナトリュウムの排泄を促し、恒常性維持機能を担っている。だからこそ味噌・醤油・漬物などの発酵食品を作り出した。どれも塩なしでは完成しない伝統の食文化を生んできた。

 減塩が習慣になると、慢性的な塩不足に陥って代謝異常をきたしてしまう。その症状は多様である。何しろ体内で正常な代謝が停滞し、日々の活動に必要な活力が減衰し、全身の生命力が奪われてしまう。これでは治る病もますます悪化するのは当然である。
 生物がその生命を維持するのに欠くことのできない大切な海の恵み、それが塩である事をもう一度確認して頂きたい。

塩はミネラルの宝庫(もちろん工業用の精製塩では無く海塩である。)
 現在の慣行農法栽培の作物は、数十年前のそれに比べて、ミネラルの含有量は1/5~1/10と言われている。だからミネラルの供給源として質の良い塩は貴重なのだ。

 そして地球が磁場を形成している様に、生物も地場を持ち、微弱電流が流れているのは先刻ご存知であろう。生命を支える大切な要素であるが、この生命磁場の形成にミネラルが大きな働きを担っている。

 また血液の酸アルカリの均衡を保ち、細胞内液と外液との濃度勾配と電位勾配を調整、ビタミンなどとの共同で触媒機能を受け持ち、生体の代謝機能全てに関わり、恒常性維持機能を支えている。

 海水に含まれる83種と云われるミネラルはNa・K・Caなどの代表的な元素以外に、極微量元素も含めて生命活動には欠かすことが出来ないと云われている。
 
 またケルブランは生体内元素転換によって、Naや他の元素から生体反応に必要な元素は合成されていることを指摘している。小宇宙と表現される体内では、宇宙で起きた現象が全て、穏やかに再現されていると云う仮説も成り立つのではないだろうか。

 


3: 過食ストレスと飢餓ストレス

  • 過食ストレス

 現代はストレス社会である。肉体的、精神的ストレスが容赦なく襲いかかる。人間の病(生活習慣病)の原因はこのストレスの継続によって引き起こされるとされている。

 精神的ストレスは様々であるし、誰もが経験する事であるから説明の必要は無いだろう。精神的ストレスによる肉体の反応は、ストレスによって血液が酸性化し、その継続によって問題が顕在化する事で生じる。そのメカニズムはこれから説明する、肉体的ストレスと同じものだろう。

 現代社会の肉体的ストレスとはどんなものであろうか。命まで削り取る重労働は、少なくとも日本社会では存在しないだろうと思われる。あえて挙げるとすればプロスポーツやオリンピックを目指すスポーツ選手かもしれない。しかし彼らは自分の意志でそこに身を置いている。

 大相撲の力士は太ることを求められる。とはいえ、今の力士は太り過ぎである。肥満、過食である事の方が遥かにストレスの比重は大きい。また過労死の問題が指摘されるが、過労を処理できないその脆弱な肉体こそ問題であり、それを作り上げた食生活のあり方こそ解決されるべき問題であろう。

 またそれを克服できない精神の弱さこそ問題である。戦後生きることの意味を問うてこなかった教育の問題が大きい。

 ビジネスマンや関取の命を削り取る、不自然食や過食によるストレスこそ、現代社会の肉体的ストレスの代表と言っていいだろう。

 そして人間の生理に合わない(毒物といっても良い)動物性食品、化学物質、工場生産される加工食品の数々は、臓器の整理機能を狂わせ、慢性的な多臓器不全を引き起こし、生活習慣病の蔓延をもたらしている。

  • 飢餓ストレス

 人類の歴史は「飢え」との戦いの歴史であると表現される。数百万年の飢えとの戦いで人類の生理機能は、飢えに対応して進化してきたものと思われる。

 満腹するまで食べられているのは、現代でも約十億の人々で、多くはそのような環境にはない。数億の人々が餓えで苦しみ、飢えが原因で亡くなる人は、年間二千万人との試算もある。
 
 飢餓に対応してきた人類の生理機能は、飽食によるストレスを上手に処理できないため、様々な病の温床になっていることに、もっと注意を払うべきである。病を得るということは本人のみならず、社会の負担も莫大なものになる。

 次の項で免疫機能の立場から、飢餓ストレスの検証を行う。

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