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第四章「生と死の狭間」

第四章「生と死の狭間」

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1: 物質と精神の融合

色即是空、空即是色

 ルネッサンス以降近代化した西欧諸国は、自然科学の研究でその対象としては、扱い難い意識・精神を宗教に委ね、物質だけを研究の対象としてきた。

 しかし二十世紀になってから、量子論の発達によって、物質を構成する素粒子の世界が明らかとなり、宇宙空間に天体が浮いている如くに、物質はスケスケの隙間だらけの状態であることが判明した。

 しかもその空間は何も存在しない真空の空間では無く、エネルギーに満ち溢れた高エネルギーの世界であることが、再認識されるようになって来たのである。

 過去に否定されていた、宇宙空間はエーテル(エネルギー)で満たされているという考えが正しかった事を、最新の量子論は証明しようとしている。

 このような考え方を背景に、デヴィッド・ボームは「ホログラフィ宇宙モデル」を提唱している。これは物質的宇宙(明在系)は目に見えない宇宙(暗在系)との二重構造からなり、暗在系宇宙には物質・精神・空間・時間などが渾然一体となって包み込まれており、明在系と暗在系とは不可分の関係であるというものである。

 それは東洋哲学が説いてきた概念とも一致する。そしてユングの提唱した集合無意識という仮説もまた、量子論の到達した概念の延長線上にあるものと言えるだろう。

 百匹目の猿で有名になった、シェルドレイクの仮説は、ユングの説く集合無意識が「形の場」を形成し、時空を超えて「形の共鳴」によって伝播すると言うのである。

 分かりやすく言えば、ある集団の集合無意識が、時空を超えて別の集団の集合無意識と共鳴して共通の意識となるという。

 また個人の無意識が「形の場」と「形の共鳴」によって、私たちの深層意識の奥に刻み込まれ、各々の人生にまで深く影響を与えているというのだ。
 或いは虫の知らせや正夢を見るという事も、この理論で説明できるという。しかしこれらは仮説に過ぎず、証明するところまでには至っていない。

 また、例えば電気を取り出す技術は確立されているが、何故、磁界の中でコイルを回転させると、コイルに電流が生じるのかという疑問には、現代科学は答えられないでいる。 

 それは現代科学が非物質の存在を認めていないからだが、光や電気は物質とも非物質とも言えない、その中間のエネルギー粒子である。

時空を超えて拡がる意識の波

 そして私達の「心」や「無意識」という精神作用は、
より精妙なエネルギー的存在によるものである。

 だからこそ物質世界を解き明かす為の科学技術では、電子より微細な粒子によって生じる、精神活動や電気が発生する現象を説明できない。

 現代医療が病気に対して無力なのは、生命現象がより精妙なエネルギーの、見えない世界の現れだからである。

 精子が卵子に向かって泳ぐメカニズムの不思議、植物が人間の意思に反応したり、提供者から離れた場所で、提供者が受ける興奮や刺激に反応を示す白血球の存在など、バクスター効果として知られているが、これらの事を説明する理論がない。

 更にホメオパシー効果は実際の医療現場で、ホメオパシー療法としてヨーロッパで普及している。これは水に薬を溶かして、薬の成分が検出されなくなるまで希釈し、薬効情報だけ水に記憶させ、副作用を排除した治療法である。
 これも現代医学では明確な説明がつかない。これが物質科学の限界と言える。

 先に東西の文化の融合が必要と述べた。言葉を変えて表現すれば物質と精神の融合とも言える。
 例えば車のエンジンを回転させただけでは、車は動いてくれないのは当然だ。適切なギアを選び、クラッチを繋ぎ、アクセルを調整してハンドルを切る。そして運転手が必要なことは自明のことだ。

 私達の身体を車に例えるならば、運転手は脳だという事になるだろう。しかしながら、今の車はコンピューター制御されていて、AIによる自動運転も実用段階に入っている。だがAIに意思を与えるのは人間だ。

 同様に人間の脳がどれほど優秀で、複雑な機能を有していたとしても、そこに心や無意識の働きがなければ、脳は働けないのである。
 また生命活動に欠かせないエネルギーは、細胞内のミトコンドリアが生産する。ATP(アデノシン三リン酸)に蓄えられて必要なときに化学エネルギーとして取り出すことができる。

 この生体エネルギーは生命活動に欠かせないエネルギであるが、それが全てではない。化学エネルギーだけでは心と無意識の高度な働きは説明ができない。
 
 肉体という物質と無意識という見えない世界の、精妙な非物質エネルギーが融合した姿が生命なのである。


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