* 第三章「生命維持システム」
第三章「生命維持システム」
4: 免疫機能
現代生理学的な解釈では、過剰なストレスにより免疫力が、低下して病気を誘発していると
云われている。そのメカニズムは、免疫学の権威である「安保 徹(あぼ とおる)氏」によると、
▼人体の防御系は自律神経の支配を受ける
自律神経 | 白血球 | 正常 | 働き | 顆粒球・リンパ球の増減 |
---|---|---|---|---|
交感神経 | 顆粒球 | 60% | 病原体の貪食細胞 | 7割以上の顆粒球増加/アレルギー体質 |
副交感神経 | リンパ球 | 35% | 異常蛋白の接着分子 | 3割以上のリンパ球増加で癌は退縮 |
マクロファージ | 5% | 病原体細胞残骸処理 |
- 交感神経緊張状態~ストレス過剰
- 顆粒球の増加、活性(顆粒球は炎症性の防御系を形成し、免疫は起こさない)
- アドレナリン、ドーパミンなど分泌 ⇒ 各臓器の運動刺激
- 活性酸素を放出 ⇒ 細菌、異常細胞の処理
- リンパ球減少
- 免疫力低下
- 危急時の防衛反応
- アドレナリン大量分泌 ⇒ 血圧上昇、心拍数増加、糖の増加、気管支拡張、赤血球増加、胃腸機能(消化液、蠕動運動など)の抑制
- コーチゾルの分泌 ⇒ リンパ球の溶解 ⇒ 免疫力低下で免疫障害が多発
- 顆粒球の増加、活性(顆粒球は炎症性の防御系を形成し、免疫は起こさない)
- 副交感神経優位の状態
- 安静にし、リラックスして、気分が安定した状態で、リンパ球が活性化。
- 血圧の低下、心拍数の減少
- 免疫機能の亢進
- 消耗した生体機能の回復に適した条件を整える働きをする。
- 安静にし、リラックスして、気分が安定した状態で、リンパ球が活性化。
- 新旧2系統の免疫系
- 副交感神経支配 ~ 胸腺による新免疫系
- 顆粒球が処理出来ない、微細な外来抗原や異常蛋白に対応
- 交感神経支配 ~ 消化管、肝臓、子宮、外分泌腺の周りに存在する古い免疫系
- 交感神経緊張状態で活性化 ~ 顆粒球とともに自己の異常細胞の処理
- 副交感神経支配 ~ 胸腺による新免疫系
▼交感神経緊張状態が継続されれば、顆粒球増多となり、大量に放出される活性酸素により組織障害が引き起こされる。同時にリンパ球の減少による免疫障害、免疫異常が生じる。
引用:安保 徹(あぼ とおる) 著 / 免疫革命 / 講談社
交感神経緊張状態の意味
ストレス過剰による交感神経優位の状態とは、まさに人類が永いあいだ、苦しんできた
飢餓ストレスに対応して、進化させてきた防御反応である。顆粒球を増加させる為に、リンパ球の溶解を促して、免疫系の抑制を計り、飢餓に耐え得る体の準備を整える。
この防御システムは、食が絶たれるという命の危機に際し、逆に体内では旺盛な生命力が発現する。蓄えた脂肪を燃やし、炎症や組織異常が修復され、旺盛な生命力が活性する故に、免疫系の抑制も問題にならないものと思われる。
断食による健康回復、増進の効果は、この生体反応を利用したもので確かな結果を残している。「腹八分に医者いらず」という教えは先人の至言である。但し本格的な断食療法は、専門家の指導を仰ぐことをお薦めする。
- 交感神経緊張~飢餓ストレスを意図的に創出
- 顆粒球増多(白血球の60%が理想的~70-80%で組織障害)
- 炎症した組織の修復・除去
- 活性酸素の放出
- 病原菌の貪食作用
- リンパ球が処理した微細物質の処理
- 副腎髄質を刺激
- アドレナリンの分泌促進(生物の生存本能を司る物質)
- 各臓器の運動刺激
- 顆粒球増多(白血球の60%が理想的~70-80%で組織障害)
※このような作用により、肉体は活動的となり、適当なストレスは体を修復して、人生をより豊かにしてくれる。
副交感神経緊張過剰の意味
しかし厄介なことに現代社会では、継続的に曝されるストレス解消法としての、
摂食行動によって、ストレスを取り除くこと無く、副交感神経優位の状態に導くことができる為に、自然と過食傾向が強くなり、益々副交感神経が亢進されリンパ球増多となる。
また化学物質、肥満、白砂糖などの影響で体内の酸素が奪われ、副交感神経の緊張が作られて、さらなるリンパ球増多となることで、抗体が抗原に対して過剰反応して、アレルギー疾患の原因となる。
- 副交感神経緊張
- リンパ球増多(白血球の35%が理想的~30%未満で免疫障害)
- 顆粒球が処理不能な微細物質の処理
- ウィルス-リケッチア-プリオン-など異常蛋白の処理
- 心拍数の減少-血圧の低下
- 安心したリラックス状態で活性化-健康促進
- 食欲増進
- リンパ球増多(白血球の35%が理想的~30%未満で免疫障害)
- 副交感神経緊張過剰
- リンパ球異常活性-増加
- アレルギー疾患(アトピ-鼻炎-気管支喘息など生活習慣病)
- 疲労-全身倦怠感
- 片頭痛-眠気-低血圧症
- 神経伝達物質の分泌促進
- プロスタグランジン ~ 血管拡張-痛み-発熱
- アセチルコリン ~ 心臓抑制-血圧降下-腸管収縮-骨格筋肉収縮
- ロイコトリエン ~ 浮腫(むくみ)-喘息-過敏症
- セロトニン ~ 腸の蠕動運動-毛細血管-収縮透過性亢進
- ヒスタミン ~ 血管拡張-腸管-子宮筋収縮-アレルギー起因-毛細血管透過性亢進
- リンパ球異常活性-増加
過度な緊張が続くと、体は疲弊しストレスに対応したシステムが働かなくなる。
特に副腎皮質ホルモンが枯渇して、恒常性維持機能や防御システムに、重大な齟齬をきたし、生命維持にも関わる。
- ▼副腎皮質ホルモン
副腎皮質から分泌されるホルモンの総称。生命維持に必須で、体内における無機質-水分代謝の調節を行うもの、血糖値の上昇、肝臓におけるグリコーゲンやケトン体の生成を促進するものなど----
引用:大辞林 第三版/三省堂